ハッピーエンドなんていらない



だから、雪が家まで送ってくれることは本当に嬉しかった。


その日から、冬休みを迎えるまで、雪は毎日わたしを家まで送ってくれた。

部活で疲れているはずなのに、懲りずに毎日毎日送ってくれた。


想いが、少しずつ揺れていた。

それは目に見えるものではなかったし、なんとなくだけど。

雪に心が揺れている気がした。

単に、雪って本当に良い人だなと、思っているだけかもしれないんだけど。


そうして冬休み、1回程度雪と遊んでから、とうとうその日が来た。


鏡を見ながら身だしなみをチェックしていく。

髪型がおかしくないかだとか、服装はちゃんとしているかだとか。

外は寒いけど、モコモコとした膝丈のスカートにタイツを履くことにした。

…少しでも、可愛いと思われたかった。

それがどちらにかは分からないけれど、とにかく可愛いと思われたかった。


準備を整えてからコートとマフラーを着て家を出た。

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