ハッピーエンドなんていらない



そう、雪の誕生日は、年も明けて学校も始まった1月の中旬頃のことだ。

冬休みの間に誕プレ買っておかなきゃと考えていると、ふと向こうから楽しそうな声がした。

そちらを向くと、紫苑と湊がキャッキャと楽しそうにはしゃぎながら、こちらに向かってきていた。


「遅れてごめん!」

慌てて駆け寄ってくる紫苑に、転ぶなよと声をかける湊。

紫苑は少し高めの靴で、底をカツカツと鳴らしながら歩いていた。


ふんわりとした女の子らしいワンピースに、可愛いコートを羽織る紫苑。

紫苑らしくて、女の子らしくて、どうしてか劣等感を感じる。


「お、彩芽かわいいー!」

それなのに、サラッと嘘偽りなくそんなことを言ってしまうから。

余計にわたしは、劣等感に苛まれる。

「紫苑の方が、可愛いよ」

本音も嘘になってしまいそうなくらい、黒い感情がわたしを覆い尽くす。


集合したわたしたちは、早速その遊園地へと電車で向かった。

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