ハッピーエンドなんていらない
「ね、観覧車乗ろうよ!」
突然、思いついたように紫苑がそう提案をしてきた。
絶叫系をたくさん乗ってそろそろ疲れた頃合いで、みんなその意見に賛成した。
わたしは、4人そろって観覧車に乗ると、そう思っていたから。
だけれど、違った。
観覧車乗り場について、券を買ってから紫苑がハッと何か思いついたような顔をした。
「そうだ、せっかくだし、わたしと湊、彩芽と雪のペアで乗ろうよ」
その言葉に、思わず「え」と声を出してしまう。
「…彩芽、ヤダ?」
悲しそうな顔をする紫苑に、慌てて首を横に振った。
…違う、湊と一緒にいれることを期待したわけじゃない!
わたしの彼氏は雪なんだから、たとえそれが仮でも雪なんだから。
違うの、湊と紫苑が幸せでいることをわたしは心の底から願ってる。
「イヤじゃ、ないよ」
絞り出した声は震えていた。