ハッピーエンドなんていらない
しばらくしてやっと泣き止んだわたしの頭を、雪がよしよしと撫でていた。
いつの間にか離れていて、雪は優しい顔でわたしを見つめている。
「なんか、ごめんなさい」
観覧車はすっかり頂上を超えていた。
それでもまだまだ降りるのには時間がかかりそうで、それまでに泣いた目をなんとかしなければ。
一生懸命涙を拭っていると、雪は大丈夫だと笑ってくれた。
その笑顔がなんだか悲しそうに見えて、少し申し訳なくなる。
「ほんと、ごめん。
仮にも、彼氏である雪に他の人のこと好きなんだって愚痴っちゃって」
いくら付き合ってみようってノリで付き合ったとはいえ、雪は彼氏なんだ。
彼女に他の人が好きなのにと愚痴られて気持ちがいいものではないだろう。
しゅんとしていると、雪は切なげに笑っていた。
「仮にも、か…」
ふっと笑った雪にわたしは首を傾げた。
じぃっと雪を見つめていると、雪は再びわたしを抱きしめた。