ハッピーエンドなんていらない
ハッキリ言って、泣いたままの目で紫苑たちに会うのは嫌だったし助かった。
観覧車からおりたら、とりあえずお手洗いにでも行って顔を洗おうかな。
ちょうどわたしは化粧などはしない主義だし、遠慮なく洗うことができる。
それなのに、雪は少しその画面をじっと見たあと、ささっと文を書いて返信した。
チラッと覗いてみると、『俺も彩芽とどこか行ってくる』と書いてあって、思わず驚いて雪を見た。
雪はわたしの視線に気付いてヘヘっと笑うと、
「まあ、向こうがどっか行くならこっちもね」
と言ってわたしに笑いかけた。
観覧車を降りてから、雪がわたしの手を引いて向かったのはお化け屋敷だった。
ハッキリ言ってお化け屋敷は苦手分野。
怖いのは全然大丈夫なんだけど、暗がりが苦手なのである。
「…雪、マジで行くの?」
ちょうど混んでいないお化け屋敷に乗り込む気満々の雪に声をかけると、雪はニッと笑顔を浮かべた。
「当たり前じゃん!」
若干嫌がるわたしの手を遠慮なく引いて、雪はお化け屋敷の列に並んだ。
間もなく順番がやって来る。