ハッピーエンドなんていらない
雪と手を繋いだままお化け屋敷を巡った。
真っ暗でそれが1番怖くて、正直驚かされてもそれどころじゃなかった。
雪は「わっ」と小さく驚いていたけれど、わたしも雪も叫ぶことはなかった。
ギュッと雪の手を握りしめているうちに出口についてしまって、外の明るさにホッとした。
そのあと、待ち合わせ場所を決めていたらしく、紫苑たちと合流した。
「あれ、彩芽、泣いた?」
ふと紫苑に尋ねられてドキッとする。
だから手洗い場に行きたかったのに、と雪の方を見ると、雪はチラッと先程のお化け屋敷のチケットを見せた。
「さっき、お化け屋敷行ってきたんだよ」
そしたら泣いちゃって、なんておどけながら話す雪に、紫苑も湊もなるほどと納得する。
…もしかして、かばってくれた…?
チラッと雪の方を見ると、雪はわたしを見てニコッと笑ってみせた。
何気なくかばってくれたことが嬉しくて、思わずドキッとした。
結局その後泣いたことをネタにされたけれど、雪のおかげでわたしの想いはバレずに済んだ。
ほんとうに雪には感謝してる。
そんな雪に、わたしの心は揺れていた。