ハッピーエンドなんていらない
その日、わたしは鏡の前に立って、じぃっと自分を見つめていた。
髪型とか、服装だとか、どこかおかしなところはないか念入りに確認する。
そんなわたしが恥ずかしくなって、はぁと一つため息をついた。
わたしらしからぬチェックのぬくぬくとしたワンピース。
羽織るコートは明るいベージュの白いファーがついているものだ。
これは両方とも、お年玉で購入したものである。
あまりおしゃれな服を持っていなかったけど、せっかく彼氏が出来たんだしと、買ってみた。
「やっぱり、わたしにはあんまり似合わないかもなぁ…」
くるりと一回転してからそう呟いた。
ため息混じりに吐き出された声は、寒さで少しだけ震えていた。
「…室内なのに、寒…っ」
さすがにワンピース一枚は寒かったらしい。
長袖でぬくぬくとしているとはいえ、暖房も何もついていない部屋は寒すぎる。
まあ、今日行くのは暖かいカフェだし、別にこのままでも構わないけど。