ハッピーエンドなんていらない



吐き出す息は白く、何もない宙へと消えていく。

それはまるでわたしの報われなかった想いのようだと、ふいに笑みを浮かべた。

真っ先に、ふわりと浮かぶ、雪の笑顔。

それがなんだか無性に嬉しくなってしまって、軽い足取りで待ち合わせ場所へと向かった。


「…うわっ、15分も前だ…」

時計を見て思わずがっくりと肩を落とした。

わたしとしたことが、まさか集合時刻の15分も前に待ち合わせ場所につこうとは。


まるで楽しみすぎて待ってられなかったみたいだと、恥ずかしくなった。

いや、たしかにとても楽しみだったのだろうけど。


でも、さすがにこの寒さの中15分も待っているのは辛いかも。

そう思いながら携帯を取り出すと、

「彩芽、もう来てたの?」

ふと背後からそう声が聞こえて、思わずピクリと肩を震わせた。


振り返ると、雪が少し息を切らしながら立っていた。


「ちょ、ちょっと家を出るのが早すぎちゃって…」

えへへと笑って誤魔化すと、雪はそっかと笑っていた。

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