ハッピーエンドなんていらない
想像してたとおり、やっぱり雪にはお店の雰囲気もカフェオレも似合ってる。
パフェはスプーンを2つもらって、2人で分け合って食べている。
冷たくて、でも美味しくて。
フルーツパフェのため、フルーツがたくさん乗っていて、甘くて。
「ほら、彩芽」
雪は上に乗っていたバナナと生クリームをすくって、わたしの口の方に持ってきた。
キョトンとするわたしに、雪はニコッと笑いかける。
「あーん」
平然としてそんなことを言う雪に、ドキッと心臓が高鳴った。
ああ、心臓に悪い。
平静を装って遠慮なくいただくけれど、心臓の音がうるさすぎて味に集中できない。
そう思うと、わたしが確実に雪のことを好きになっていってることを思い知らされる。
それがなんだか寂しくって。
「それじゃあ、雪も、あーん」
わたしは仕返しに、ミカンとアイスをすくって雪の口に近付けた。
雪は少し困った顔をしたあと、わたしと同じようにパクリと食べた。
「美味しい?」
味わう雪に笑いかける。