ハッピーエンドなんていらない
包装紙に包んだそれを、机の上にコトンと置いて、雪の方に差し出した。
不思議そうに首を傾げる雪に、精一杯の笑顔を浮かべる。
「これ、誕生日プレゼント」
そう言って雪の前に置けば、雪はワクワクした様子でプレゼントを受け取った。
「ありがとう、開けるの楽しみだなぁ」
ウズウズする雪の、喜ぶ顔が見たくて、わたしはふふっと微笑むと、
「別に、今開けてもいいよ」
そう言ってまた笑った。
「ん、じゃあ遠慮なく…」
カサっという音と共に、包装紙に包まれていた中身があらわになる。
その正体に、雪は一瞬動きをピタリと止めて、それから壊れ物を扱うようにそれらを拾い上げた。
「あ、これ、おれが前に欲しいって言ってたやつ、だよな…?」
わざわざ聞いてくるなんてズルい。
心の中で突っ込みながら、わたしはコクンと頷いた。
「あげるなら、欲しがってたもののがいいかなって思っただけ」
ふいっとそっぽを向きながらそう言うと、ふと雪の手がわたしの頭を触れた。