ハッピーエンドなんていらない



その手が、ふわりと優しくわたしの髪を撫でる。

「ありがとう、すごく嬉しい」

ニッと満面の笑みを浮かべる雪に、頬が火照るのを感じながら、

「どういたしまして」

わたしはボソッと小さめの声でそう答えた。


…頬が、熱い。


その瞬間、頭をなでていた手が頬を触れて、サッと雪の手がわたしから離れた。

「顔赤いけど、大丈夫?」

雪の質問にさらに赤くなる頬。

慌てて両手で覆って、

「ぜ、全然大丈夫!」

そう言ってパフェのアイスを口に運んだ。

ひんやりとしていてとても美味しい。


それから、しばらく雪はチラチラとわたしを見るだけで話しかけてこなかった。

…気を、遣っているのかもしれない。

なんだかモヤモヤとする。


それから少しして、雪はハッと思い出した顔をすると、

「今度、映画行かない?

アニメの映画なんだけどさ、あの……」

映画のチケットを見せながらそう言ってきた。

雪が見ようというのは昔から人気のアニメの最新映画らしい。

わたしも好きなアニメだったし、もちろん大賛成。

2人でまた出かける約束をすることができた。

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