ハッピーエンドなんていらない
清々しいくらいの笑顔で、はっきりとその事実を認めた。
「どうしてわたしじゃないのかなって、考えたよ、そりゃあ」
だけど、と下を向いて紫苑は続ける。
「それは彩芽も同じかと思ったらなんか、吹っ切れちゃった」
さすが親友、と付け足した紫苑。
さすが親友、わたしたちってよく似てるよね。
そう言いたそうに笑う紫苑の笑顔に、ズキズキと胸が苦しくなった。
「あ、そろそろ、2人とも部活終わる時間なんじゃない?」
チラッと時計に目をやった紫苑が、ポツリと呟いた。
つられて時計を見ると、確かにそろそろ部活が終わる時間だ。
紫苑はそっと黒板消しを手に取ると、黒板に書いてあった文を消し始めた。
濃くはっきりと書かれた文を、強く力を込めて消していく。
「なかなか、消えないよね」
わたしの言葉の意味に、ほんの少しして気が付いた紫苑は、悲しそうに眉を下げながら「そうだね」と言った。