ハッピーエンドなんていらない

スッとわたしから目をそらして、恥ずかしそうにうつむく雪。

やがて目はそらしたまま顔を上げると、

「うん、ずっと、好きだったよ…」

なんだか申し訳なさそうな口ぶりでそう答えた。


…もしかして、紫苑を好きだと嘘ついたことに申し訳なく思ってる…？

いきなりこんな質問をしたから、怒っていると勘違いされたかもしれない。


確かにそもそもわたしたちは、お互いに湊と紫苑が好きだったわけで、それで忘れるために付き合った。

紫苑を好きだというのは、仮でもわたしと結ばれるためについた嘘。

そうじゃないかもしれないけど、そうともよめる嘘だ。


…別にわたし、怒ってないけど。


まあいいかと思い、質問を続けることにした。


「なんで、紫苑が好きだなんて嘘をついたの？」

分かっている。

わたしのためであって、紫苑に唆されたのもあって、雪が悩んだ末についた嘘だと。


こんな質問、完璧に怒ってると勘違いされたかも。