ハッピーエンドなんていらない
翌日からも、特に気にしてない風を装って話しかけていたけれど、やはり気まずさが表に出てしまう。
湊と紫苑はというと、相変わらず幸せそうにいちゃいちゃとしていた。
ああ見ると、やっぱり紫苑は湊のことを好きなんじゃないかな、と思う。
本人は雪が好きだと言っているけれど、本人が気付いていないだけで、本当は。
なんて、紫苑が湊を好きであることを、なんでわたしは期待しているのだろう。
答えは一つしかないけれど、わたしはわざと知らないふりをした。
「あれ?お2人さん、今日は会話が少ないね」
不思議そうにわたしを見た紫苑を、ジッと少しだけ鋭く見た。
すると紫苑は察してくれたのか、申し訳なさそうな顔をしてえへへと笑った。
別に、紫苑のせいではないんだけど。
紫苑が何かしたからこうなったと、紫苑を責めるわけではないけれど。
「そういうお前らは朝からいちゃいちゃと」
呆れ顔の雪が、ため息混じりにそう呟いた。