ハッピーエンドなんていらない
まあそれでも言ってみるだけ言ってみようと、ふらつく紫苑を支えた。
「紫苑、今日は家に帰ろう」
ね?と小首かしげてお願いしてみるが、紫苑は断固として拒否をする。
嫌だ嫌だとまるで子供のようにわたしの腕を振り払いまた歩き始める。
…多分、どんなに言い聞かせても聞いてはくれないだろう。
覚悟の上で紫苑を説得してみるが、やはり承諾してくれず、いつの間にか駅についてしまった。
「…もう、分かった、学校には行こう」
パタパタと後ろをついてきていた雪と顔を合わせて、紫苑を連れて行くことにした。
嬉しそうな顔をしてこちらを向いた紫苑の息が切れていた。
熱っぽいから、これだけのことでも疲れてしまったのかな。
だけどなんだか嫌な予感がして、ふと紫苑に尋ねた。
「疲れたの?」
だけれど紫苑はフルフルと首を横に振った。
「ううん、ちょっと息苦しいだけ」
結論を言うと、紫苑を学校につれていったのだが、正門に立っていた生活指導の先生に見つかり連行された。
そこで熱を測り、39℃近くもあり、熱っぽいどころじゃないということで帰らされていた。
紫苑はしょんぼりと落ち込んでいて、とりあえず紫苑のお母さんが来るまで話し相手になっていた。
また明日、熱を治して学校に来て、それから湊と話せばいいのだから。
そう言えば紫苑はそうだねと笑って、迎えに来たお母さんとともに素直に帰ってくれた。