ハッピーエンドなんていらない

「紫苑は、大丈夫なんですか…？」

震える声で問いかけると、紫苑のお母さんはへらっと笑ってみせた。

そんな心配しないでよと愛らしい笑みを浮かべながらへらへらと笑う。


「大丈夫よぉ、肺炎で2週間入院するだけだから」

おほほとわざとらしい笑い声をあげた紫苑のお母さんに、ホッと胸をなでおろした。


まったく、ヒヤヒヤさせるなんて紫苑のお母さんも人が悪い。


…でも、されど2週間、か。


「それじゃあ、帰りにお見舞いに行ってもいいですか？」

そう尋ねると、紫苑のお母さんは「もちろんいいわよ」と笑ってみせた。

それから紫苑のお母さんに病院と病室を教えてもらい、雪と登校することにした。

お見舞いに行くことを、紫苑にはお母さんが連絡しておいてくれるらしい。


…とりあえず、湊はどうしようか。