ハッピーエンドなんていらない
何が食べられるか分からないから、とりあえず日持ちをしそうなお菓子を買っていく。
それから紫苑のお母さんに教えてもらった病院の病室に向かった。
トントンとノックをして、遠慮なく部屋に入る。
部屋は2週間だけということで個室にしてもらったらしい。
人の目を気にせずに話せるなと思い部屋に入ると、わたしに気が付いた紫苑が慌てて寝たふりをした。
そんな紫苑に近寄って、布団の上から軽くトントンと叩いた。
「紫苑、辛いの?」
大丈夫?と声をかけると、紫苑はフルフルと首を振った。
向こうを向いたまま、こちらを見ようとはしない。
「湊に、メール無視されちゃった…」
それが辛いの、と紫苑は力のない声で呟いた。
わたしが聞いた体調面よりも、湊に無視されたことのほうがよっぽど辛いらしい。