ハッピーエンドなんていらない
2.
紫苑からの連絡が来ないまま、1週間が経とうとしていた。
湊とは集合場所で顔を合わせる程度で、おもむろに避けられている。
別にそんなに避けられても無理に話しかけたりはしないのに。
雪にとって湊は、わたしにとっての紫苑みたいなものだから、少し寂しそうな顔をしていた。
湊は湊で他の友達と話していても時折寂しそうにしていた。
それが雪がいないからだといいなぁなんて思いながら湊を見る。
…そんな中、ふと気が付いたのだ。
湊がとある女子と特別仲良くしているということに。
別に湊の友達関係に口を出す気はないのだけれど、その女子は明らかに湊が好きだ。
そうして肝心の湊は、その女子に対して思わせぶりな態度をとってはいるが、好きではないらしい。
…わざと、思わせぶりな態度をとっているみたいだというか。
寂しさを紛らわすためなのだろうか。