ハッピーエンドなんていらない
すぐに想いを吹っ切れるわけではなくても、形だけで付き合うことはできる。
現にわたしが、そうであったように。
…やっぱり、放っておけない、というか。
放課後、さっさと教室から出ようとした湊の腕を掴んで引き止めた。
幼馴染だと知っているからか、周りはそれを気に留めず教室から出ていく。
「…、なんだよ」
ギロっと睨みつける湊に、わたしは怯まずに答えた。
「聞きたいことがあるから、ついてきて」
同じように睨みつけると、湊はしぶしぶ、荷物を持ってわたしのあとをついてくる。
…なんだか、好きだった人を睨みつけるなんて、変な気分だ。
わたしも荷物を片手に、真っ直ぐ図書室を目指した。
今日は、というか最近は早く行けているため、あのカップルはいない。
人も来る様子がないし、気にせず話をすることができるだろう。
ガラッと音を立てて、湊が扉を閉めたのを確認すると、わたしは荷物を机の上において湊の方を見た。
ジッと射抜くような視線に、湊は少しだけ驚いた様子だった。