ハッピーエンドなんていらない



今までは嫌われたくない一心だったから、そんな睨んだりなんて絶対にしなかった。

湊を本気で睨み付けたのは恐らくこの時がはじめてだから、湊も驚いているのだろう。


「最近、想良ちゃんと仲良いよね」


名前をなんとか思い出して指摘すると、湊は怪訝そうな顔をした。


「まあ、そうかもしれないな」

ふいっとわたしから目をそらして気まずそうにしている。

…紫苑に告げ口されることを恐れているのだろうか。

曖昧な答え方をしているあたり、そうなのかもしれない。


…ということは、湊は紫苑とよりを戻したいと思っているかもしれない。


「想良ちゃん、きっと湊のこと好きだよ」

きっとじゃなくて絶対だけど、と心の中で突っ込みながら探るようにそう言う。


湊はふと笑みを浮かべると、「かもな」と驚く様子もなくそう言った。

なんとなくでも、想良ちゃんに好意を持たれてると分かってたよう。

知らなかったという感じが全く見受けられない。

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