ハッピーエンドなんていらない
日はもうすでに傾いていた。
オレンジ色にも金色にも見える光が、図書室を包み込んでいく。
冬休み前よりは日が高くなったけれども、それでもまだまだ低い。
あっという間に沈んでしまう日は、冬であることを痛感させる。
「それじゃあさ、」
わたしは、直接窓の方を見ているわけではなかった。
ただ図書室に広がる淡い金色の光が、もう日が暮れかけていることを教えてくれている。
わたしの視線の先はずっと湊のまま。
そこからそらす必要もなにもないから、ジッと見据えたままだ。
「もし、告白されたら、付き合うの?」
問いかける声がほんの少し震えているような気がした。
昔の想いが引き起こされているのか、胸が苦しくなる。
でも、それよりも真っ先に思い浮かぶのは紫苑の、むりやり笑った泣き顔だ。
もし付き合うと言ったら、付き合ってしまったら、紫苑は泣きながら笑うのだろう。
そんな紫苑が、安易に想像できるから。