ハッピーエンドなんていらない
手が震えていた。
きっと寒さのせいだと言い聞かせて、無理に口元に笑みを貼り付ける。
「へえ、おめでとう」
あの時のわたしは、わたしではないと言っても過言じゃないくらい冷めていた。
元からそんなキャラで可愛くない奴だったから、問い詰められることはなくて。
「えへへ、ありがとぉ」
照れて頬を赤く染める親友は、わたしの何倍も可愛かった。
悲しかった。悔しかった。
親友なのに、いや親友だからこそ、盗られてしまったような、そんな感じがしたんだ。
言わなかったわたしが悪いのに。
壊したくなくて。ずっと湊の側にいるために、4人の友情を壊したくなくて。
本当の気持ちを言わずにわたしの中だけに秘めていたから、
だからこうなってしまっただろうに。
どうしてこんなにも紫苑が憎いのだろうと、自分を恨んだ。