ハッピーエンドなんていらない



はっきりと言い放った言葉に、湊はふわりと微笑んだ。

大好きだった笑顔、わたしが、大好きだった湊の笑顔。


「じゃあ、伝えたいこととか、頭ん中整理するからさ、2日後の帰りに、紫苑のところに行こう」

覚悟を決めたその目が、わたしを捉えてユラリと揺れた。

「え、行こうってことは、わたしも?」

「彩芽と、雪と、おれの3人で」

なにそれ、とわたしは思わず笑みをこぼした。

2人きりのが絶対いいのに、人を巻き込むあたり湊らしい。


それでも、伝えることを決めたのは、伝えに行こうと思うのは、すごいことだ。

どんな結末でもいいから、伝えたいことを、伝えたいままに。

たとえほんの少ししか可能性がなかったとしてもいいじゃないか。


…わたしには、できなかったから。


2人には後悔してほしくないんだ。

2人の悲しむ顔なんて、見たくないから。

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