ハッピーエンドなんていらない



後悔してほしくないのも、2人に幸せになってもらいたいというのも、わたしのわがままだ。

わたしははじめから、2人のハッピーエンドを祈っていた。

それだけは、嘘じゃないから。


1人きりになってしまった図書室で、ぐたりと脱力し近くの椅子に座り込む。

そうしてなんとなく、携帯の電源をつけてみた。

本を読むにも、しばらくは立ち上がりたくなかった。


途端に、ちょうどよく誰からかメッセージが届いた。

こんな時間に誰からだろうとトークを開くと、それは紫苑からで。

『もう大丈夫』そのタイミングのよさに、思わずふふっと笑みをこぼした。


2日後に湊が行くことを伝えるべきか迷っていたところだったんだ。

紫苑には連絡してからと言われたのに、連絡がくる前に湊を行かせるのはと思って。


だけど、紫苑からトークがきて安心した。

『じゃあ、2日後に行くね』

わたしはそれだけ送ると、静かに携帯を閉じた。

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