ハッピーエンドなんていらない



翌日1日はあっという間に過ぎてしまった。

湊がわたしと雪にまた話しかけてくるようになって、想良ちゃんは自然と離れていった。

悪いことをしたような気になったけれど、友達と楽しそうに話してるし、まあいいかと思った。


そうして紫苑に会いに行く当日は、やけに長く感じた。

前日ほど早く時間が過ぎてくれずやきもきしているうちに、なんとか放課後を迎えた。

湊も雪も本来なら部活があったため、もちろん顧問の先生に休むと伝えに行った。


3人で話し合った結果、お見舞いの品は紫苑の好きな果物のジュースにすることにした。

クッキーも候補にあがったのだが、申し訳ないことにわたしがすでに届けているから外された。


「…めっちゃ緊張してきたんだけど」

紫苑の入院している病院について、湊がふとそうこぼした。

それに対して、雪とわたし、顔を合わせてからクスッと笑った。


「言わなくたって、顔にそうかいてあるよ」

ふふっと微笑むと、湊はえっと驚いた顔をした。

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