ハッピーエンドなんていらない



ほんのちょっと甘えたような声に、わたしは迷わず席についた。

心臓がドクドクと音を立てる。

こうして胸が高鳴るたびに、ああ雪が好きだなぁってなる。

それは言い聞かせとかそういうものではなくて、自然と頬が緩むもので。


ただ、ジッと見据える雪の目から異様な雰囲気を感じ取って、キョトンとした。

どうしたのだろう、とても真剣な話をしたいようだけど。


改まる雪に、なんだか嫌な感じがしてまた心臓がうるさく鳴った。


「彩芽、頑張ってたよね、湊のために話しに行ったりしてさ」

ニコリと笑う雪の顔が、どことなく悲しそうに見える。


「…湊のためというか、わたしのためなんだけど」

ぼそっと呟くも、☃雪にはよく聞こえてなかったらしく、首を傾げる。

わたしはそれに、なんでもないと首を振った。

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