ハッピーエンドなんていらない



苦いだけだった恋に甘さが加えられて、かき混ぜられていって。

まるでチョコレートみたいな恋が、ミルクを混ぜて甘く優しく収まっていく。

崩れかけた友情は、そっと積み立てなおして、また元通り。

ねえきっとわたしたちは、何度でもそうやって元に戻れるから。


「あらあら、お2人さん、お熱いですねぇ」

ははっと笑う声が、わたしの背後から聞こえてきて肩をビクッと震わせた。


いつから聞いていたのか、振り返るとそこには湊が立っていた。


「うお、いつから聞いてたんだよ?!」

驚いて思い切り顔を上げた雪に、湊はクスクスと笑った。

「んー、雪が彩芽におれが好きなのか聞いたあたりからかなぁ?」

「そんな前から聞いてたの?!」

かぁっと顔が熱くなっていく。


その後紫苑の病室に行ったわたしたちは、湊に先程のことを告げ口され、紫苑にもからかわれた。

すごくすごく恥ずかしかったけれど、とっても嬉しかった。

噛みしめる幸せに、頬が緩んでいく。

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