ハッピーエンドなんていらない



そんな雪の腕に、自分の腕を絡める。

驚いた様子の雪を見上げて、わたしはニコリと微笑んだ。


「やめてよ、わたしは昔4人でいたときみたいに、自然と笑える関係がいいんだから」

ね?と首を傾げてみせると、雪は少しムッとしてしまった。

「難しい注文だなぁ」

ボソッと呟いた雪が、チラリとこちらを見る。

パチッと合った目に、なんでもないけどおかしくて、2人してふふっと笑った。


「まあ、自然体でいきましょうってことですよ」

ふわりと笑ってみせると、雪も同じようにふわりとした笑みを浮かべた。


本当はバカップルやってると、早く別れるってよく聞くから、いつもみたいな関係がいいんだけど、なんて。

さすがに雪にからかわれてしまいそうなので絶対に口にはしないけど。

どっちにしろ、いつもみたいな関係なら気を遣わなくてすごく楽だし。

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