ハッピーエンドなんていらない
紫苑の提案にやはりなと思い、ニコリと笑い返した。
今年は、というのも、中学3年生までは一緒に何かを作っていた。
しかし、去年、湊と紫苑が付き合ったことにより、一緒には作らなかった。
わたしが紫苑にそう提案したのもあるんだけど、紫苑自体も湊へと雪へで分けていたし。
「うん、そうだね、今年はまた2人で作りたいね」
たった2年前のことを、懐かしんで思い出していると、紫苑が「そうでしょう?」と言って笑った。
また、こうして本心から、自然と笑い合うことができて幸せだ。
紫苑と笑い合えることは、本当に、幸せ。
「じゃあ、なに作る?」
席の方に歩きながら、紫苑がふと問いかけてきた。
わたしは少し考えてから、思いつかなかったので紫苑を見る。
「紫苑は、何か作りたいのある?」
わたしの座っていた席の目の前に座った紫苑は、振り返りながら首を傾げた。
「チョコ?」
コテンと首を傾げる紫苑に、
「そりゃバレンタインデーなんだからチョコでしょう」
思わずそう突っ込んだ。