ハッピーエンドなんていらない



所詮はただのないものねだりにすぎないと分かってはいるのだけれど、やっぱり紫苑が羨ましいと思うものだ。


「食べに行くってことは、行き先はいつものショッピングモールでいいよね?」

紫苑はピンと人差し指を立ててふわりと微笑んだ。


いつものショッピングモールというのは、家から歩いてでも行ける距離にあるショッピングモールである。

とても近い上に結構広くて大きいので、こうして食事をして買い物もしたいときに便利である。

わたしたちもよく利用していて、むしろ買い物といったらここ、というくらいだ。

もちろん、他のスーパーに行くことだってあるのだが、あそこならいろいろと見て回れる。


今回はチョコの材料だけが目的だったから、本当はスーパーに行くつもりだったのだが。

日曜日はとても混むからあまり好きではないが、ラッピングとかも見れるしまあ仕方ない。

それに、なにより楽しいし。


「日曜日、楽しみにしてるね」

笑いかけると、紫苑は大きく頷いて笑い返してくれた。

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