ハッピーエンドなんていらない



やがて飲み物とお菓子を持ってきた雪が部屋に帰ってきた。

「机、出しといてくれたんだ。ありがとう。

あ、飲み物はカフェオレにしたよ」

わたしの用意した机にトンっと飲み物やお菓子を置きながら、雪はニコリと笑いかける。


…カフェオレ、雪の大好物だもんな。

もちろんわたしも嫌いじゃないし、むしろ好きだ。


雪が置いたカフェオレの目の前に座り、わたしは早速一口口にした。

甘くてほろ苦い味が、じわじわと口の中に広がっていく。

「美味しい」

素直にそう言うと、雪は嬉しそうに笑みを浮かべた。


それからわたしたちは特に意味もなく、あれやこれやと話をした。

不思議なことに話が尽きることはなくって。

小学生の頃の話もしたし、1番はやはり最近のこと。

部活はどうかとか、どれくらい本を読んだのかとか、あの教科が嫌いとか好きとか。

相手のことを知るための質問から、特に意味のない無駄話。

それから、紫苑や湊とのこと。

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