ハッピーエンドなんていらない



たくさんたくさん話をして、もうお腹いっぱいになってしまうくらい話をして。

それから、気が付けばかなり時間が経っていて。


「…あ、そうだ、夕飯食べてく?」

時計を見た雪が、ぽつりとそう尋ねてきた。

いきなりのお誘いにわたしは慌てて首を横に振る。

「そんな、悪いよ」

チラッと時計を見るとまだ5時頃で、3時間も4時間も話し込んでいたことが見て取れた。


6時頃に聞かれたらあれだけど、まだ5時なら食べていくことだってできる。

せっかくだしお言葉に甘えたいけれど、お菓子もいただいた上にご飯までは…。

さすがに遠慮してしまう。


だけど雪はふっと笑みを浮かべると、

「母さん、おれが中学校入ってからは帰りがもっと遅くなってさ。

その頃から夕飯も1人で作って1人で食べてるんだけど、寂しいんだよ」

たまには誰かと食べたいと言った。


「…雪が1人で作ってるの?」

疑問に思い問いかけると、雪はまあねと笑って頷いた。


わたしは1人じゃなかなかうまく料理をできないたちなので、とても羨ましいし尊敬する。

「じゃあ、手伝わせてもらってもいい?」

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