ハッピーエンドなんていらない
わたしを呼んだのは雪だった。
すっかり暗くなってしまったはずなのに、光が眩しくて目の前が白くなる。
ぱちぱちと瞬きをすると、少ししてやっと目の前がよく見えてきた。
「寝てるなんて珍しいねぇ」
ふふっと笑う声に顔を上げると、目の前に紫苑の顔があり思わず肩を震わせた。
無言で驚いたわたしに、紫苑はおかしそうにクスクスと笑う。
「…もう、そんな時間?」
問いながら時計を見ると、部活が終わる時間は過ぎている。
「そう、だから迎えに来てるんでしょう!」
ムッと頬を膨らました紫苑に、そうだねと適当に相槌をうち立ち上がった。
まだ半分寝ぼけたまま、さっさと帰る準備をする。
それから図書室の鍵を職員室に返して、4人で家に帰った。
翌日は紫苑とチョコを作る約束をしていた。
そのためお昼ごはんを食べたあとに、紫苑の家へと向かった。