ハッピーエンドなんていらない



これならわたしにもある程度似合っているしおかしくないはず。

鏡の中にいる自分を見て、ニコリと笑みを浮かべてみせた。


それから朝ごはんを食べたわたしは、8時半に紫苑の家につくよう、自分の家を出た。

まあ、25分くらいに出れば十分間に合うのだけれど。

そうして紫苑の家でチョコの準備をしてから、家に戻り雪たちと遊ぶための準備をした。


チョコを鞄の中に忍ばせた9時50分、インターホンの音が鳴り響く。


わたしが出ようと思ったのに、暇にしていた兄にあっさり先に出られてしまう。

鞄を持ち上着を着て、一つ袋を手に持って慌てて玄関に向かうと、兄が雪を家の中に招こうとしていた。


「お兄ちゃん、今日は家の中で遊ぶわけじゃないの!」

遠慮する雪の腕を強引に引いていた兄にそう言うと、兄はニヤリと笑った。

「わかった、また4人で遊ぶんだろ?

ほんと、仲いいな、お前ら」

ケラケラと笑う兄に、はいはいと適当に返事をしてから、雪に少し家の外に出てもらう。

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