ハッピーエンドなんていらない
雪はわたしの手を引いてぐんぐん中へと進んでいく。
わたしは仕方ないなと言いたげに雪の手を握り返すと、気に入ったプリクラ機を選んだ。
さきほどとは違い2人きりで撮る。
それだけでとても緊張してしまって、心臓の音がうるさく鳴る。
「雪、落書き下手」
「彩芽も人のこと言えないじゃん」
プリクラ初心者同士、貶し合いながら笑い合いながら、文字を描いていく。
2人でピースサインで映っているだけだけど、なんだか見てると恥ずかしくなる。
好きとか愛してるとかそんな言葉は書けないから、代わりに名前の横に“アホ”と書いてみる。
照れ隠ししているのがバレバレな落書き、雪も似たりよったりのものを書いていた。
「次はどこに行こうか」
微笑む雪に手を引かれて、わたしは行きたいところを述べた。
雪の行きたいところにも行ったりして、2人でいろんな話をして歩く。
そのうち疲れてしまったわたしたちは、フードコートで休憩をしていた。
「真冬にアイスとか」
休憩ついでにアイスを食べていたわたしに、雪がクスッと笑みをこぼした。