ハッピーエンドなんていらない



雪はわたしの手を引いてぐんぐん中へと進んでいく。

わたしは仕方ないなと言いたげに雪の手を握り返すと、気に入ったプリクラ機を選んだ。


さきほどとは違い2人きりで撮る。

それだけでとても緊張してしまって、心臓の音がうるさく鳴る。


「雪、落書き下手」

「彩芽も人のこと言えないじゃん」

プリクラ初心者同士、貶し合いながら笑い合いながら、文字を描いていく。

2人でピースサインで映っているだけだけど、なんだか見てると恥ずかしくなる。

好きとか愛してるとかそんな言葉は書けないから、代わりに名前の横に“アホ”と書いてみる。

照れ隠ししているのがバレバレな落書き、雪も似たりよったりのものを書いていた。


「次はどこに行こうか」

微笑む雪に手を引かれて、わたしは行きたいところを述べた。

雪の行きたいところにも行ったりして、2人でいろんな話をして歩く。


そのうち疲れてしまったわたしたちは、フードコートで休憩をしていた。

「真冬にアイスとか」

休憩ついでにアイスを食べていたわたしに、雪がクスッと笑みをこぼした。

< 250 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop