ハッピーエンドなんていらない
ありがとうを言うのはむしろ、わたしのほうだ。
わたしを見つめる雪に、飛びついて思い切り抱きしめる。
雪は驚きながらも、わたしをそっと抱きしめ返してくれた。
…わたし、待ってるから。
その言葉を声にすることはできなくて、代わりにギュッと抱きしめる腕に力を込める。
雪は「苦しいよ」なんて言いながらも、わたしをまた強い力で抱きしめ返した。
会えなくなることが辛い。
会おうと思えば会える距離だけれど、遠くて寂しくて。
名残惜しそうに離れたわたしたちは、一度だけ触れるだけのキスをして別れた。