ハッピーエンドなんていらない
あれから、1年が経った。
まだ寒い風が吹き抜ける中、わたしと紫苑と湊とで、大学の合格発表に来ていた。
緊張しているためか、先程からまったくと言っていいほど会話がない。
無言のまま、大学の入り口に立っていた。
雪も同じ大学を受けているらしい。
学部は多少違えど、幼馴染そろって大学まで同じとは、運命すら感じる。
幼馴染の時点で、運命なのだろうけど。
「それじゃあ、入るよ」
湊と腕を組んでいる紫苑が、きゅっとわたしの服の袖を引いた。
心臓の音がうるさくなる、不安が心の底からこみ上げてくる。
受験番号の書いてある紙を片手に握りしめて、合格者の番号がはりだされた紙の前に立った。
ガヤガヤと騒がしく盛り上がる中、わたしたちは自分たちの番号を探す。
「…あった、」
見つけた番号に、わたしは小さく呟いた。
…雪は、何番なのかな。
雪は、合格したのかな。
前から雪に番号を教えてと言っていたのに、結局雪は教えてくれず、わたしだけ教えている。