ハッピーエンドなんていらない




あれから、1年が経った。

まだ寒い風が吹き抜ける中、わたしと紫苑と湊とで、大学の合格発表に来ていた。

緊張しているためか、先程からまったくと言っていいほど会話がない。

無言のまま、大学の入り口に立っていた。


雪も同じ大学を受けているらしい。

学部は多少違えど、幼馴染そろって大学まで同じとは、運命すら感じる。

幼馴染の時点で、運命なのだろうけど。


「それじゃあ、入るよ」

湊と腕を組んでいる紫苑が、きゅっとわたしの服の袖を引いた。

心臓の音がうるさくなる、不安が心の底からこみ上げてくる。


受験番号の書いてある紙を片手に握りしめて、合格者の番号がはりだされた紙の前に立った。

ガヤガヤと騒がしく盛り上がる中、わたしたちは自分たちの番号を探す。


「…あった、」

見つけた番号に、わたしは小さく呟いた。


…雪は、何番なのかな。

雪は、合格したのかな。

前から雪に番号を教えてと言っていたのに、結局雪は教えてくれず、わたしだけ教えている。

< 260 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop