ハッピーエンドなんていらない
「え、あったの?!あ、わたしのも、湊のもあるよ!」
紫苑がきゃっきゃとはしゃぐのを聞きながら、わたしはその場に立ち尽くした。
…雪の番号がどれかわからないから、雪が受かったのか分からない。
きっと、雪はわたしが受かったかどうか分かるだろうけど。
「とりあえず雪には連絡入れるからさ、近くの喫茶店で待とうよ」
紫苑に腕を引かれる湊が、わたしの肩を叩いて微笑みながら言った。
わたしは答えに詰まってしまって、とりあえず周りを見渡した。
雪らしき人物の姿も見えず、わいわいと集まる人の波の中では見つけられず。
確かに寒いから喫茶店に入りたい気持ちはよく分かる。
でも、雪が気になってしまって、なかなか動き出せずにいた。
あれから、何かあれば欠かさずに連絡をいれて、雪からも連絡がきて。
雪への気持ちは薄れるどころか増していった。
会ったこともない人に恋する人の気持ちがなんとなくわかる気がした。
文面だけで、胸が高鳴る。
相手がどう思っているのか想像して、一喜一憂する。