ハッピーエンドなんていらない
だけど、話し相手がいないと暇だったのは確かだ。
まあわたしの場合、携帯のゲームでもしているのだろうが。
「湊たち、遅いね」
「紫苑が多分、遅れてるんでしょう」
雪の質問に答えるために口にして、どうしようもなく悲しくなった。
湊はきっと、紫苑を迎えに行ってからここに来る。
だって、そりゃそうでしょう。
2人は付き合っているのだから。
だけど、それを認めたくないわたしが、湊が紫苑を迎えに行っている事実に悲しんでいた。
諦めきれないほどに、何を期待しているのだろう。
期待したらした分だけ、悲しくなるのは目に見えているのに。
「そろそろ、来る頃かな」
雪に合わせてわたしも湊たちが来る方を見ると、笑い合う2人がこちらへとかけてきていた。
履きなれない下駄に手間取る紫苑に、早く早くと優しく手を引いてあげる湊。
見なくない現実を、見なきゃいけないのは、幼馴染をやめれない自分のせいだと、
わかってるけど、知ってるけど。