ハッピーエンドなんていらない



そうだよ、気にしてたら負け。

気にしてたら、鋭い雪にバレてしまう。

隠していた、わたしの想いが。


「わた菓子、好きなの?」


首を傾げる雪に、そうなんだと笑顔を浮かべて頷いた。


「うん、そう、好きなの」

…好きなの、甘くって、すぐに溶けちゃうところがほんと恋みたいで。

頭をよぎることが湊のこととか、湊を想うわたしのことばかりで嫌になる。

好きだけど、大好きだけど、甘すぎて酔いそうだから嫌いだよ。


わた菓子みたいにふわふわとした恋なんて、いつか儚く消えてしまう。

それでもわたしは、どうしていつまでその恋に縋っているのだろう。


「…おれも、好き」


雪の視線が、ゆっくりと前の2人へと向いていく。

そこに2人しかいないみたいな、2人の世界に染まる彼ら。

見たくないのに、見てしまうのは。

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