ハッピーエンドなんていらない



そんなわたしにははっと笑った雪は、わた菓子のなくなった割り箸をわたしからとって、

「買ってきてやる。ついでにこれ捨ててくるから」

そんなことを言って人並みに消えていった。


…確か250円だったっけな。用意しとこ。


財布を取り出して250円を取り出した。

そうして2つ買って戻ってきた雪からチョコバナナを1つ受け取り、お金を押し付けた。

いいよと返してくるけれど、湊におごってもらって雪にまで、というのは気が引ける。


結局わたしに押し負けた雪はお金を受け取ってくれた。


「美味しい…」

言葉をこぼして前を向く。


「不思議だよな」

雪が不意にわたしにそう言った。

なんのことか分からず首を傾げると、雪は周りの人を見た。

それからわたしを見て、

「おれら、カップルに見えてるんだよ。

ほら、人の視線がなんだか羨ましそうだろ」

ニッと笑う。


言われて周りを見渡すと、女子軍団からの鋭い視線がチクチクと刺さる。


「まあ、雪がかっこいい、からね」

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