ハッピーエンドなんていらない
「要するに、何が言いたいの?」
スッキリしなくて尋ねると、雪はまあまあと誤魔化す。
「あー、ほら、そろそろ花火、始まるんじゃない?」
空を見上げた雪が、目の前をゆく2人に声をかける。
「花火見ながら、何か食べたいな」
ふと、つぶやく。
それに気付いた雪が少し驚いた顔をする。
「まだ食べるの?」
恐る恐る尋ねてくる雪に思い切り頷いてやると、仕方ないなともう少し屋台を回ることになった。
湊と紫苑は先に場所をとっといてくれるらしく、先にどこかに行ってしまった。
いなくなった2人の背中。
わたしは、そんな2人の背中を見て微笑むだけで。
ハッピーエンドなんて、いらない。
わたしは、主人公の親友ポジでいい。
わたしがバッドエンドになった裏で紫苑がハッピーエンドになれるならそれでいい。
なんて、本心じゃないって、わかってるんだけど。