ハッピーエンドなんていらない
また来年には、湊への想いも忘れてまっさらな気持ちで花火を見たい。
きっと、それだけの時間が経てば、想いも風化して色褪せてくれるよね。
「お、そろそろ休憩終了だ」
そんなことを言って席を立ち上がる雪。
最近の雪は本当にわからない。
すぐに休憩時間は終わってしまうのに、わざわざわたしなんかに会いに来て。
紫苑に会いに行けばいいのに、わたしのところに来たりして。
紫苑のところなら、剣道部の練習場所からそう遠くないはずなのに。
わたしのところに来るよりもずっと、近いはずなのに。
「また次の休憩時間に遊びに来るな」
いいだろ、といつものように付け足す雪に、いいよと笑いかける。
バタンと大きく響いた扉の閉まる音を聞いてから、わたしはへたりと机に伏せた。
最近の雪は、ちょっとおかしいのかもしれない。