ハッピーエンドなんていらない
1.
幼馴染なんて、やめてしまいたかった。
「彩芽、おはよう!」
朝から元気に抱きついてくる紫苑に、おはようと言って笑いかけた。
「あれ、雪は?」
そう問いかけくる湊に、さあと肩をすくめる。
わたしから離れた紫苑は、湊の腕に自分の腕を絡めた。
幸せそうな2人。ギュッとスカートを掴む。
「ごめん、遅くなった〜」
呑気にあくびなんてしながら歩いてくる雪に、紫苑は満面の笑みを浮かべる。
「いつも遅いじゃん!」
全く、と言いながら紫苑は雪に駆け寄りバシッと肩を叩いた。
ゆるりと腕が解かれて、悲しそうな顔をする湊。
ふと目が合って、ついそらしてしまった。