ハッピーエンドなんていらない



雪が、自分よりも湊や紫苑のことを考えている故かもしれない。


ああそれだと、まるでわたしが利用されているみたい。


でも、否定はできない。

わたしだって、1人じゃ寂しくて、休憩時間のたびに来る雪を待っているのだ。

雪が勝手に来ると、言い訳しているだけで利用しているようなものだ。

かわらないじゃないか。


「…わたしは、」


ふと口にした。

声にはならなかった。


わたしは、湊が好きなのに…__


いっそ雪を好きになってしまえたらなんて、そんなの雪を利用しているようなもの。

利用するとかされるとか、そんなドロドロとした関係でいたくないのに。


わたしたちは、“幼馴染”でいたいのに。


湊とも紫苑とも、幼馴染というくくりでは表せないような関係。

紫苑は単純に大切な親友、湊はその彼氏でありわたしの好きな人。

雪だけでも、幼馴染でいたい。


…でもそれじゃあまた、雪を利用しているみたい。


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