ハッピーエンドなんていらない
湊は他のバスケ部の人に話を聞いたあと、首を傾げてグランドの方に消えていった。
その背中すら、愛おしい。
そして、どうしようもなく胸が苦しくなる。
その背中をジッと見つめてから、席に戻ろうとした時だった。
ガラッ、と大きな音を立てて、図書室の扉が開いた。
雪の休憩時間はついさっき終わったばかりだ。
考え事をしていたとはいえ、そう時間は経っていないはずだ。
不思議に思って扉の方を見ると、そこには息を切らした紫苑が立っていた。
「え、紫苑…?」
肩で息をする紫苑に、どうしたらいいかわからずとりあえず声をかける。
紫苑は息を整えてから、ふわりと笑みを浮かべた。
「遊びに来ちゃった!」
えへへ、と笑う紫苑の笑顔。
かわいらしくて、劣等感が心を埋めていく。