ハッピーエンドなんていらない



「そっ、か…」

言葉がつまる。

それ以上に息が詰まる。


バスケ部の休憩時間はそうそう長くないはずだ。

というか、そろそろ終わってしまいそう。

だけど紫苑は帰らないどころか、中に入り扉を閉め、先程まで雪の座っていたところに座った。


「あれ、彩芽、座らないの?」

不思議そうに首を傾げる紫苑に、ああと声をもらす。

「次読む本、選びたいから。といっても、新しいの以外読み尽くしちゃったけど」

真似してえへへと笑ってみるけれど、似合わなくて、劣等感。

紫苑に対して、劣等感ばかりが募っていく。


窓際に並ぶ本の方に目を向けたわたしに、紫苑はすごいなぁと呟いた。


「そっか、もう読み尽くしちゃったのか。

本当に本が好きだよね、彩芽は」

頬杖をついた紫苑が、目を細めてふんわりとした笑みを浮かべる。

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