ハッピーエンドなんていらない
前を歩く幸せそうな2人のあとを、わたしと雪が追う。
腕を絡めて頬を染めて、楽しそうに話しているのを見ると、なんだか羨ましくなる。
…2人から愛されている紫苑が、羨ましくて、羨ましくて…。
醜い嫉妬に吐きそうだ。
でも、なんにも知らないふりをして、偽りの笑みを口元に貼り付ける。
電車の中でも楽しそうにいちゃつくバカップル。
「相変わらずだね」
苦笑いをする雪に、そうねと言って笑う。
相変わらずだよ。幸せそうで。
だけど、4人でいるからには4人で楽しく話したりもする。
でも、4人で話すと、何度も何度も飲み込んで忘れようとしてきた想いが、
何度も何度も呼び起こされて、わたしの気管を塞ぐから。
苦しくて泣きたくて寂しくて。