ハッピーエンドなんていらない
笑うわたしに、紫苑はそうかなぁと不満げな言葉をこぼした。
「本も、たくさんあるし。まあ、読み尽くしちゃったけど。
新しいものがでてたり、図書室だってイベントをやってたりするし。
この部屋からなら、空がよく見えるの」
窓の外に目をやって、一つ一つ言葉を紡ぎ出す。
それは本心か否か、言ってる本人すら分からないなんて。
本当は、ちょっぴり疎外感を感じていた。
部活をやるみんなは生き生きとしてて、休憩時間のときに仲良く話しているのも知ってる。
体育館や武道場、運動場から図書室は遠くて、どうしても仲間はずれになってしまうわたし。
彼らに悪意はないし、故意にわたしをハブいているわけじゃない。
でも、寂しかった。
図書室から走り出しても、少ししか話せないし、それぞれの休憩時間なんて知らない。
だいたい10分くらいってことくらいだ。
それじゃあナイスなタイミングで会いに行くことなんて不可能だった。