ハッピーエンドなんていらない
嘘をつくたびに心が痛くなった。
でも感じる息苦しさも全部無視してやった。
「…友だち?」
尋ねる雪に大きく頷く。
「そう、友だち」
腕がほどかれて自由になった腕を振って、家に向かって走り出した。
バレバレの嘘、雪の言葉を肯定するような態度。
友だちなんて、ただの友だちだなんて、自己暗示にしかすぎなくて。
少しでも好きじゃなくなるようにと、自分の心にも嘘をつこうとしてる。
人のことを好きじゃなくなる魔法が、どこかにあればいいのに。
荷物を乱雑に部屋に放り投げた。
散らばったそれらを気に留めることもなく、わたしはベッドに飛び込んだ。
そうして頬を伝う涙を気にすることなく眠りについた。